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2012ヴィンテージ総括
長らく間が空いてしまいましたが、ぼちぼちと復活です。
今シーズン、ブログはさぼっていましたが、栽培醸造をさぼっていたわけではもちろんありません。非常に充実したシーズンとなりました。

久しぶりに冷え込みの厳しかった冬のせいで、春はゆっくりとしたスタートでした。5月の早い時期に集中的な雨があり、早生品種は早々とベト病の危機と騒がれましたが、その後の好天で全体的には順調なスタートとなりました。またこの時期の好天が後の収量増に大きく影響しました。

6月後半から7月までは、そこそこ梅雨らしい雨もありましたが、トータルでは平年より若干、楽な気候推移。ほどほどに気を配っていれば、さほど問題なく生育が進む天候でした。

特異的だったのが8月から。勝沼アメダスでの8月の雨量、23mmという記録が、ほとんど雨が降らなかったことを意味しています。9月も少雨傾向が続き、猛暑の影響で着色が心配されたりしましたが、何より雨が降らないことが大事。ブドウの成熟にとっては最適な天候が続きました。

さぞかしグレートなヴィンテージになるだろうと胸を躍らせて醸造期に入りましたが、世の中はやはりそんなに甘くはありませんでした(笑)

開花期の好天、ここ数年収量が少ない年が続いたことの反動もあって、どこの畑も軒並み収量増の状態になりました。多いところでは平年の2倍にもなり、平均でも1.5倍近い収量となりました。収量制限はブドウ栽培技術の重要なポイントです。ただ今年の場合は枝や房の数をコントロールしていても、房が非常に大きくなり、園主自身がビックリするほどの収量増というのが、多く見られました。

ワインの品質は収量に大きく影響されます。どんなに天気が良くても、平年の2倍も成らせた畑からは、熟したブドウを得ることはできません。特に早い時期の甲州やベリーAではその傾向が見られました。

ただ、イレギュラーにもきちんと対応してある程度の収量コントロールができた畑、また房が大きくなるといってもたかが知れているワイン専用品種などの場合は、今年の好天を享受することができました。自社畑のワイン専用品種に関して言えば、私の経験上(ここ15年)で最高の状態でのブドウを収穫することができました。そして(おそらく)ベストのワインに育ちつつあります。

収量制限の重要さを改めて認識した年、
雨が降らないのはやっぱり一番だな〜と思った年、
量が増えたおかげで醸造がやたらと忙しかった年、
忙しかった仕事が高品質ワインとなって報われた充実した年、
そんな2012年のシーズンでした。

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小山田幸紀
by lumiere_wine | 2012-11-29 12:40
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